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ネトゲと音声合成と備忘録

A.I.VOICEへボイスプリセット・各種辞書ファイルを移植した話

はじめに

この記事では、VOICEROID2(以下ボイロ)で使用しているボイスプリセットや辞書ファイルを、A.I.VOICE(以下アイボス)へ移植するための手順をそれぞれ記載しています。

下記4種類のファイルの移植方法を記載します。

  • ボイスプリセット(.vpc)
  • フレーズ辞書(.pdic)
  • 単語辞書(.wdic)
  • 記号ポーズ辞書(.sdic)

ファイルの中身を直接書き換えるため、ファイルが破損する場合があります。

そのため、必ずバックアップを取ってから作業を開始してください。

サクラエディタTerapad等のテキストエディタを準備してください。

筆者はAtomで作業しているため、Atomを基準に執筆しています。他のエディタを使ってる人は適当に読み替えるなり調べるなりしてください。

仮にやらかしても自己責任です。

後々アップデートで公式に対応するなどの可能性があります。2021/02/22時点での手順になります。



ボイスプリセット(.vpc)の移植

1番大事であろうボイスプリセット (以下vpc) の移植手順から。

ボイロのやアイボスのエディタにはプリセット統合機能がありますが、単純に統合しただけではアイボス上では反映されません。

そのためvpcを開き、一部を書き換える必要があります。まずはそのvpcの中身がどういうものか見てみます。

  <VoicePreset>
    <PresetName>琴葉 葵 - 厨二病</PresetName>
    <Type>User</Type>
    <Dialect>Standard</Dialect>
    <VoiceName>aoi_emo_44</VoiceName>
    <Volume>1.05</Volume>
    <Speed>1.1199999999999999</Speed>
    <Pitch>0.98</Pitch>
    <PitchRange>1.07</PitchRange>
    <MiddlePause>150</MiddlePause>
    <LongPause>370</LongPause>
    <Styles>
      <Style>
        <Name>J</Name>
        <Value>0.49</Value>
      </Style>
      <Style>
        <Name>A</Name>
        <Value>0.6</Value>
      </Style>
      <Style>
        <Name>S</Name>
        <Value>0.099784946236558647</Value>
      </Style>
    </Styles>
  </VoicePreset>

これでプリセット1つ分です。実際に動画で使用したプリセットから選出しました、使っていいよ。

アイボス側も基本的に記述は一緒ですが、使用するボイスデータが違うため、アイボス側で使用するボイスデータを使うように書き換える必要があります。

プリセットのコード内に

    <VoiceName>aoi_emo_44</VoiceName>

と記述された行があり、ここを以下のように書き換えることでA.I.VOICE側でも反映されます。

    <VoiceName>aoi_emo_48</VoiceName>

端的に言うとemo_44と記述された部分をemo_48に書き換えるだけです。今回はこれで解決しました。


やり方

  • ボイロのvpcをアイボスのvpcに統合します。
    • ツール>プロジェクト設定>ボイスプリセットの項目に「統合」のボタンがあるので、統合したいvpcを選択して統合します。
    • デフォルトの設定ならドキュメント内にファイルがあります。
  • 統合後のvpcを用意したテキストエディタで開きます。
  • Ctrl+Fを押して検索窓を開き、emo_44と入力します。
  • 置換機能を使用し、置換後の文字列がemo_48となるよう入力し、置換します。
  • 念の為、別名で保存します。
    • この際、拡張子は必ず.vpcにしてください。
  • アイボス側で保存したvpcを読み込みます。表示されれば移植完了です。



こんな感じになりました。 現状アイボスでリリースされているのは琴葉姉妹と伊織弓鶴の3名ですが、他の子も同じようにして移植できるはずです。



フレーズ辞書(.pdic)、記号ポーズ辞書(.sdic)の移植

この2つの辞書はボイロの辞書をそのままアイボスで統合するだけでOKです。

ファイル自体は何も弄る必要がありませんでした。

アイボス側でツール>プロジェクト設定>ユーザー辞書を開き、辞書の「統合」をクリックし、ボイロ側の辞書を選択して統合してください。

簡単。



単語辞書(.wdic)の移植

単語辞書 (以下wdic) 、ある意味こいつが1番厄介かもしれません。

まず、そのままwdicを統合しようとすると下記のエラーが出ます。

単語辞書の統合に失敗しました。 中間言語のフォーマットが正しくありません。

これはボイロとアイボスのwdic文字コードが違うため発生するエラーです。



ボイロ側はShift JISだったんですが、アイボスではUTF-8になっていました。 (というかボイロ、なんでwdicだけSJISだったん…?)


やり方

  • ボイロ、アイボスそれぞれのwdicテキストエディタで開きます。
  • ボイロ側のwdicの2行目以降 (↓こういう部分) をアイボス側へコピペして別名で保存します。
名詞-固有名詞-一般;桃園結義;2000;トウエンケツギ;2-5-7:*
  • 保存時の拡張子は.wdicにしてください。


注意:それぞれのファイルの1行目 (↓この部分) は触らないでください。

# ComponentName="AITalk" ComponentVersion="6.0.0.0" UpdateDateTime="2021/02/21 21:16:58.609" Type="Word" Version="4.1" Language="Japanese" Count="1"
  • 保存したwdicをアイボス側で読み込めれば移植完了。

若干力技気味な手順になりますが、これで無事に移植出来ました。



おわりに

ひとまず手動で環境を移植することは出来ましたが、公式側でアップデートなりツール提供なりでこの辺りに対応してほしいな、と思いました。

あくまでこの記事はある程度自分でどうにか出来る人向けに書いているので、不安だなと思う人はちゃんとバックアップを取ってからやるといいと思います。

もう一度言いますがこれらの作業は自己責任で行ってください。

自分たちで対処出来ない人も居ると思うし、1から全部やり直しは流石につらいと思うのでなんとかして欲しいと思います。

他にも色々気になるところがあって、例えば一括インストールが出来なかったりして、セットアップ段階が若干不親切だなぁとも思いました。 (あとセットアップメニューが質素すぎてこれはどうなんだよって思った)

結月や紲星がリリースされる頃には改善されてるといいな。

ボイロとアイボスの比較に関しては色々な人がやると思うし、動画で出してくれる人も多いはずだし、「そもそも買った人めっちゃ居るでしょ?」って思ってるので、記事にするかはわかりません。


最後にひとつだけ。



すやすやかわいい。